先日購入したUSB-C to マルチポート(USB-C給電入力、USB2.0、USB3.0x2、HDMI)変換HUBからパソコンに給電される状況をUSBテスターとUSB-Cテスターを駆使して測ってみました。
先日購入したUSB-C to マルチポート変換HUB
- 結論:本製品は給電機能が弱くMacBookやGPD Pocket2にはやや不向き
- 使用した電源アダプタのUSB-C出力仕様
- MacBook Early 2015 への給電を測定
- GPD Pocket2への給電を測定
- 測定結果の整理
- 追試:USB3.0出力を測定する
- まとめ:つまりこいつはマイクロドッキングステーションだが、もっといい製品がある
結論:本製品は給電機能が弱くMacBookやGPD Pocket2にはやや不向き
結論としては、今回買ったマルチポートHUBはPDやQCには非対応。HUBに接続する電源アダプタの性能に依らずHUBのポートに出ている電圧は5V以下、電流も2A以下、でした。
とはいえ2,000円を切る低価格でHDMIに繋げて外部ディスプレイ表示ができてUSBポートが3つ(3.0x1、2.0x2)も出ている上にUSB-C入力で給電までできる、かなり頑張っている製品だと言えますので、文句は言えないかなといったところです。
MacBookでは通常のUSB-C to HDMI変換ケーブルを使うとバッテリーだけで動作させることになりますが、このマルチポート変換HUBを使えば給電される分、バッテリー消費を抑えられて作業時間をある程度延ばすことができると思います。
が、よく探してみるとちゃんと急速充電に対応しているもっと良い製品がいくつもありましたので、この製品をわざわざ選ぶメリットはなさそうです。
より良さそうな製品をいくつか記事の下のほうでご紹介しますので、よかったらぜひご覧ください。
使用した電源アダプタのUSB-C出力仕様
使用している電源アダプタの最大出力は30Wで、USB-Cの出力は以下の通り。
- 3.6-6V 3A → 最大18W
- 6.2-9V 2.7A → 最大24.3W
- 9.2-12V 2.3A → 最大27.6W
MacBook Early 2015 への給電を測定
USB-C電源アダプタから直接入力
USB-C充電アダプタからMacBookに直接入力した状態で測定すると11.5V2.2A流れていることがわかりました。
USB-C to マルチポート変換HUB経由の入力
USB-C to マルチポート変換HUBのUSB-C給電入力端子にUSB-C電源ケーブルを繋いでMacBookに入力した状態で測定すると4.53V1.4A流れていることがわかりました。
また、前回と同様にUSB2.0の無負荷状態の電圧も測ってみましたが4.7Vとなっていました(前回は4.9V)。
HUBのUSB-C給電入力を測定
より電源アダプターに近い、HUBのUSB-C給電入力を測定したところ4.8V1.52A流れていました。MacBook側へのUSB-C出力の測定値よりも高いので、HUB内で減衰していると考えられます。
GPD Pocket2への給電を測定
USB-C電源アダプタから直接入力
USB-C充電アダプタからGPD Pocket2に直接入力した状態で測定すると11.6V1.71A流れていることがわかりました。
USB-C to マルチポート変換HUB経由の入力
USB-C to マルチポート変換HUBのUSB-C給電入力端子にUSB-C電源ケーブルを繋いでGPD Pocket2に入力した状態で測定すると4.4V1.84A流れていることがわかりました。
また、USB2.0の無負荷状態の電圧も測ってみましたが4.6Vとなっていました。
HUBのUSB-C給電入力を測定
より電源アダプターに近い、HUBのUSB-C給電入力を測定したところ4.78V1.93A流れていました。GPD Pocket2側へのUSB-C出力の測定値よりも高いので、HUB内で減衰していると考えられます。
測定結果の整理
比較
測定した結果を表にまとめました。
MacBook Early 2015 | GPD Pocket2 | |
電源アダプタから 直接給電入力 |
11.5V x 2.2A = 25.3W | 11.6V x 1.71A = 19.8W |
HUB経由 本体へ側給電入力 |
4.53V x 1.4A = 6.34W | 4.4V x 1.84A = 8.09W |
HUB経由 HUBへUSB-C給電入力 |
4.8V x 1.52A = 7.29W | 4.78V x 1.93A = 9.23W |
HUB経由 本体給電状態 USB2.0端子電圧 |
4.7V | 4.6V |
考察・推測
電源アダプタと直接接続した場合はそれぞれの機器の定格を満たしてそうな感じで、それぞれ必要とする電力を供給できているようです。
HUBを介した場合は電圧が5V以下に制限されるように見えており(HUBのUSBポートに5V以上掛からないようにするため?)、電源アダプタの能力的には3.6-6Vであれば3Aまで流せるはずなのにMacBookは1.4A、GPD Pocket2でも1.84Aしか流れていません。前回の記事に書いた通りMacBookではこの状態で使用しながらの充電がされないので、バッテリー残量が少ない時に使うのは少し気をつけた方が良さそうです。
また、HUB経由給電はMacBook/GPD Pocket2側とHUBのUSB-C給電側とで数値に差が出ており、いずれもHUB前段(=電源アダプタの出力)よりもHUBからMacBook/GPD Pocket2へのUSB-C出力の方が低くなっています。これは、HUBのUSB-C入力とUSB-C出力が直結されておらず、何らかの制御回路(1Wほど消費している?)を経ていると考えられます。
このことから、以下の状況が考えられます。
- 今回購入したUSB-C to マルチポート変換HUBの定格電圧が5V以下で、USB-C給電しているアダプタがその制限を受けて電圧を絞っている。
- MacBook、GPD Pocket2から見て接続されたHUBの電力供給能力(最大電力、最大電流)が低く、HUBの能力を超えない電力を見極めて要求している。
- 電力供給を受ける装置(今回はMacBook、GPD Pocket)ごとに、電源に要求する電圧と電流の組み合わせ(=電力)がそれぞれ決まっている(固定値で持っている?)のかもしれない。
- USB2.0/3.0およびUSB-Cに対応しているが、測定結果から見える電源供給の挙動からPDやQCには対応していないと思われる。
追試:USB3.0出力を測定する
以上からHUBの能力で頭打ちになっていることが推測できるため、確認のためHUBのUSB-Cに給電してHUBのUSB3.0経由でMacBook、GPD Pocket2の給電を測定してみました。
MacBookもGPD Pocket2もHUB経由USB3.0からの給電はほぼ不能
HUB経由でUSB3.0ポートからMacBook、GPD Pocket2に繋いで測定しました。
いずれの場合も4.3V0.01Aで、全く給電していない状態でした。
写真は撮っていませんがUSB2.0ポートから給電しても同じ結果でした。
HUBのUSBポートからスマートフォンへの給電・充電はできる
HUBのUSB3.0からHuawei P20 Lite のUSB-Cの給電を測定したところ4.66V0.43A流れており、充電状態になりました。
Huawei P20 Lite のUSB-CにHUBのUSB-C出力を繋いだ場合はもう少し高めの値、4.7V0.77A流れました。
このように、HUBのUSBポートの出力は高くないことがわかりました。
このマルチポート変換HUBのUSBポートはPDやQCに対応していない、ということでしょうね。
まとめ:つまりこいつはマイクロドッキングステーションだが、もっといい製品がある
先日購入したUSB-C to マルチポート変換HUBはUSBポートは出力が小さいため、HDDを複数台つなげてUSB-C給電経由のバスパワーで動作させるような用途をお考えの方には向きません。
マルチポート変換HUBには液晶ディスプレイ、マウス、キーボード、電源アダプタを繋ぎっぱなしにしておき、MacBookやGPD Pocket2で腰を据えて作業したかったり、マルチディスプレイや大きい画面で作業をしたいときにUSB-Cを1本挿すだけでいい。給電もされるのでバッテリーだけで作業するよりは安心できる。もちろん、いつでも必要な時にUSB-Cを1本外すだけでMacBookやGPD Pocket2を簡単に持ち出して移動できる。
そういう、いわばマイクロドッキングステーション的な使い方を狙った製品だと思います。
というか、そういう用途が前提の製品なのは最初から明らかでしたネ😅
据え置きで使う以外にもスリムで小さくて嵩張らないので、MacBookやGPD Pocket2をプロジェクターに繋いでプレゼンに使うこともある人がPCバッグに忍ばせておいても良いかもしれません。
2020/7/20(月)追記
Amazonで同様の製品をいくつか調べてみたらもっと良いものがいくつもあり、PD急速充電対応を正式に謳っているものが結構ありました。
いくつか良さげな製品のリンクを残しておきますので参考にしてください。
(おっさん僕も、買い替えちゃおうかなァ)
こちらは最大90WのPD急速充電パススルー対応と明記されています。
こちらはPD急速充電でパソコンに最大87W供給可能と明記されています。
こちらはPD急速充電で最大100Wに対応と明記されています。
今回買ったものは説明をよく読むとPD対応充電器が使えるというニュアンスで、パソコン側に供給できる電力が書かれていませんでした。もちろん、パソコンに急速充電できるという言葉はどこにもありません。完全におっさん僕の選択ミスでしたネ😅
とは言えMacBookにつないで給電することでバッテリー消費を減らす効果はありますし、サスペンドさせておけば充電できるので、出番はそれなりにあるかなあ、とは思います。
また、GPD Pocket2で使用中に充電できるかをちゃんと確認し直してみて、できるようならGPD Pocket2専用にしてもいいかな、と思うことにしました👍
GPD Pocket2でもやってみましたがほぼ使用中充電はダメですね😅
なお、USBメモリーを挿して使えることは確認しましたがスピードは測っていませんので、USBの性能も暇を見てチェックしてみようかな、とは思っています(が、面倒なのでやらないかも)。
今回活躍したUSBテスター、USB-Cテスターたち
USB機器の電力事情を測ることができるので、今回の記事のようにPCへの給電能力を測って充電に適するかを調べることができます。
また、USBケーブルの断線チェックをしたり公称スペック通りの電流が流せるのかを確認するのにも使えますので、安全かつ効率よく充電できるケーブルの選定ができます。
気づけば2つ(というか2種類)も買ってしまいましたが、今回の記事のようにヒトバシラーとしての役割をしっかり果たせたとても便利に使えるものなので、買って良かったです😊
USBチェッカー
USB-Aオス→USBメスの方向の入力を測定することができます。
電圧、電流、消費電力、消費電力積算などがカラー液晶に表示されます。
USB-Cチェッカー
USB-Cオス→USB-Cメス、USB-Cメス→USB-Cオスの双方向に対応しています。
こちらも電圧、電流、消費電力、消費電力積算などが表示されます。
予算の都合でカラー表示タイプではなく安価な単色表示タイプを選びました。